2009年09月07日

闇の子供たち

僕が2009年79本目に観た映画は、WOWOWで録画した「闇の子供たち」です。

タイ常駐の新聞記者の主人公は、本部から臓器売買についての取材を指示されます。
取材を進めていく内、ドナーは生きたままの子供を殺して臓器を提供されられているという驚愕の実態に行き着いていきます。

一方、人身売買や幼児売春に立ち向かい、一人でも多くの子供達を救おうと、命を懸けて正面から望むNGO職員が登場します。

ある時、近々タイで不正な心臓移植手術が行われるとの情報をキャッチし、図らずも2人は共闘して、手術に望む家族やタイと日本を結ぶ闇ルートの関係者を調査するために日本に向かいます。

そこで2人は、手術に望む子供はまだ8歳で、当然国内での移植は不可、アメリカでの移植の順番待ちをするほど時間が残されていないという事実を家族から知らされます。

倫理的に許されなく、またそこに殺人までをも黙認する理不尽さに直面しながらも、それを受け入れて取材を続けようとする主人公に対して、断固許さないと家族を非難するNGO職員。

お互いの信念の差から罵りあう結果になり、喧嘩別れしてしまいます。

タイに戻った2人・・

報道を通じて、ひとりのドナーの命より、組織の実態を暴き、それが世の中を変えるきっかけを作れるかもしれないと信じる主人公は、自身の心の闇と葛藤しながら、命を懸けて取材を続行していきます。

それとは対照的に、一人の命を救えなくてどうして世の中を変えられるかとの信念の元、ひたすら人間の良心を信じて、子供達を助け出そうと試みるNGO職員。

あまりに悲惨な現実を前に、なにがあるべき姿なのか・・

そんなとき、幼児売春でエイズにかかり、生ゴミとして捨てられた少女が自力で実家に帰りますが、人身売買によりお金が必要だった家族から歓迎されるはずもなく、ひっそりと腐り、死んでいきます。

2人のとった行動が引き起こした現実は、果たして・・といったお話ですね。

 ◆◆

本作は、人身売買、幼児売春、虐待、生きたままの子供を殺して臓器移植をするという、非常に重くてデリケートな問題に、真正面から取り組もうとした意欲作です。

ジャーナリズムのあり方と自身の心の闇との間で葛藤する主人公と、ひたすら人間の良心を信じ、常に直球で勝負を挑むNGO職員。
この2人を平行して対比的に描く映画ですが、映画の立場として、どちらが是でどちらが非かといった考察や提案、主張のたぐいは一切提示せずに終わります。

ラストではそれこそ2人の対照的な結果を描いていますが、これはあくまで2人の行動の結果を描いただけで、考察等を加えたわけではありません。

これは扱っている問題があまりにデリケートな問題のため、何かしらの主張を行うことは、社会的に非常に危険な行為になってしまうためだと思います。

そのため、ラストは少し拍子抜けに感じてしまう可能性があります。

本作はあくまでフィクションで、特に不正な臓器移植等はあってはならないことだし、タイ国内においてもできないことになっています。

ですが、世界中には問題の大小はありますが、デリケートな闇の問題は確かに存在していることもあると思います。
平和な日本に暮らしている僕たちだからこそ、時にはそういった問題に触れることを通して、各自が抱える心の闇との対話のきっかけにすることも必要なのかもしれません。

(それにより、安易に民衆を扇動するような行為には及ぶべきではないとは思いますが・・)

本作で「地図上でわずか20センチの距離」という台詞に込めた、決して対岸の火事で済ませてほしくないというささやかな願いが伝わってきます。

そういった面においても、また、異色の日本映画としても、本作は一見の価値はある映画だと思います。


posted by solata at 19:19| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月06日

サブウェイ123 激突

観てきました。
僕が2009年78本目に観た映画です。

ニューヨークで地下鉄がジャックされる事件が起きます。犯人達は1両のみを切り離し、1時間で1000万ドルを身代金として要求、間に合わない場合は、1分毎に人質を殺すと言ってきます。

偶然、犯人達と交渉することになった保安職員は、犯人達に翻弄されつつも、懸命に対話を試みていきます。

犯人達は、局所的に電力を生かし、無線LANを使用しながらネットを駆使することで、保安職員等、ニューヨーク市側の弱みや行動を把握し、時に人間の良心や闇につけ込んだゲームを仕掛けることで、相手を窮地に陥れていきます。

犯人達は知能犯であると同時に冷徹であり、警察側の不手際から、ついには犠牲者も出ていきます。

これにより、ニューヨーク市は身代金の引き渡しに応じる手段に出ますが、迫りくるタイムリミットとの中、輸送車の事故等も発生し、ニューヨーク市側、犯人達側の双方にとって、予想外の要因が発生していきます。

そんな中、身代金の運び役に、交渉に当たっていた保安職員が指名され・・

果たしてタイムリミット内に身代金を引き渡すことに成功するのか?

それ以上の犠牲者を出すことなく、残された人質の命を救えるのか?

そもそもなぜ1両だったのか? なぜ1000万ドルなのか?

それ以前に、犯人達の真の目的はどこにあるのか?

ここからラストまで一気にノンストップで見せていく、サスペンス・エンターテインメント映画ですね。

 ◆◆

さて、本作は1974年の「サブウェイ・パニック」のリメイクですね。
この題名を聞いて、劇場リアルタイムではないけれど、今から30年くらい前に観た映画だという記憶だけ残っていました。(笑)
ですが、物語は全く覚えていなかったので、ある意味、新鮮に本作を観ることができました。

僕的には、トニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演とくれば、観ないわけにはいきません。
ジョン・トラボルタも、10年くらい前から、すっかり演技派が板に付いてきてますよね。

そういった意味でかなり期待していたんですが、うーん・・まぁまぁでしたね。

 ◆◆

この手の交渉劇の映画は、いかに設定が緻密であるか、また、交渉のプロと知的犯罪者との息詰まる人間同士の頭脳戦と、どんでん返しに見る脚本の意外さなどが生命線になりますが、どれも少しばかり中途半端に感じました。

 ◆◆

まず絶対条件として対決する両者は頭が非常に良くないと面白くないですよね。
保安職員ガーバーは頭はいいのだろうとは思いますが、所詮交渉のプロではないので、頭脳戦を挑めるハズもなく、既にこの時点で息詰まる交渉劇という視点は、制作側が放棄してしまっています。

ただこれは狙いだった可能性があります。あえて交渉のプロという設定にしないことで、人間臭さを全面に出し、ひたすら犯人に翻弄されまくる普通の一市民をヒーローとして描く手段だったのかもしれません。
だとすれば「頭脳戦」という宣伝により、本作を観た者に、そんなに知的じゃなかったということでガッカリさせる逆の結果を生みだしている可能性がありますね。

つまり、本作を正当に鑑賞するには、CMの予備知識はない方がきっといいです。

対する地下鉄ジャック犯はどうか・・ネタバレになるので職業は書きませんが、なるほど頭がいいです。
でもそんな犯人が、どうしてあそこまで狂気に満ちた冷徹さを見せられるのか、また、「死は神への借金の返済」など、その職業と狂気さとはどうにもかみ合わない宗教的性格も付加していて、そのキャラクターの不自然さに、今一つ映画にのめり込めない感じを受けてしまいました。

 ◆◆

設定の緻密さやどんでん返しについてはどうか・・

まず設定が全く緻密じゃない点にガッカリしてしまいます。

「知能犯なら、あんな目視で13インチ以上あるノートパソコンが動いていて、画面いっぱいにチャットで繋がっていることは、最初に地下鉄を制圧したときに気づくでしょう」

等、後ほど強引に話を進めるために必要になる仕掛けが、普通に盛り込まれているあたり、設定が幼稚としかいいようがありません。

また、知能犯なら当然用意しているであろう局面に応じたバックアッププランというものがなく、設定上のバランスが悪いと言わざるをえません。

このことが、結果、普通この手の映画に期待するような、物語が2転3転する要素を生み出せない原因となり、当然どんでん返しもないといった結果に終わっています。

そうなると後半は力技に頼るしかなくなり、後半はまるでB級映画の傑作「スピード」のように、まさしく強引にスピードで押し切っちゃうあたりも、ちょっとね・・て感じでした。

まぁこれについては、前半の「静」と後半の「動」を意図的に描き分けた可能性もあります。
どうしても「静」だけでは制作にGoを出し切れないハリウッド映画のジレンマといったものもあるのでしょうね。

 ◆◆

そんなこんなで、なんか否定的なことばかり書いてしまいましたが、映画自体はそこそこ楽しめると思いますよ。
金融危機により映画に予算をあまりかけられなくなったことで、こういったちょっと懐かしい雰囲気のするアメリカ映画を観れるようになったことは、こと映画界については悪いことばかりじゃないのかもしれませんね。
posted by solata at 00:30| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月05日

アイズ

僕が2009年77本目に観た映画は、WOWOWで録画した「アイズ」です。

姉妹の危ない遊びで、幼少の頃に盲目になってしまったバイオリニストが角膜手術を受けます。
15年ぶりに光を取り戻す主人公ですが、見えるはずのないものが見えるようになってしまいます。

メンタル面をサポートすることになった医者に相談しますが、精神科医としての見地から、主人公の言うことは当然信じてくれません。

やがて光を取り戻したこと自体を消し去りたいとまで追い込まれる主人公ですが、角膜にも細胞記憶があるのではと思い至るようになり、ドナーの見てきた者が見えていると思うようになります。

ドナーを明かすことは医師免許剥奪の憂き目にあうので拒否されますが、精神科医は主人公がにわかに精神的錯乱をしているだけではないと感じるようになり、主人公と共にドナーの故郷に向かいます。

真実を探るうち、ドナーには見えるはずのないものが見えるだけでなく、予知能力まであることが分かり・・

果たして、主人公はドナーの思いを救えるのか・・はたまた、ドナーは主人公に何を見せたかったのか・・といったお話ですね。

 ◆◆

さて、本作はホラーテイストのスリラーになるんでしょうけれど、その怖がらせ方が何とも単調で、大きな音響と共に突然前に幽霊や異常な光景が現れるの繰り返し。

ホラーの免疫力が低い人にはこれでも怖く感じるのかもしれませんが、慣れてしまっている僕には、全然怖さを感じることができず、イマイチひねりに欠けた陳腐な描写の繰り返しに思いっきりガッカリさせられてしまいました。

ではスリラーとしてはどうか・・物語に深みが足らないので、ゾクゾク感も皆無ですね。

オチくらいですね。何とか取り返してるポイントは。

決してハリウッドがホラー描写が苦手ということではないと思います。
現にスティーヴン・キング原作の映画のようにマジ怖い映画もありますからね。

そうなると、やはり本作は、素材(物語)自体にスリラーとしての魅力が足らなかったのではと思います。
もっとしっかりとしたドラマを織り込まないと、サスペンスやスリラーとして成り立たないと思います。

ところで本作・・意外と評価高いんですよねぇ。
評価している方、ごめんなさいね。僕には本作はダメだったです。
posted by solata at 03:21| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月31日

ダークナイト

僕が2009年76本目に観た映画は、WOWOWで録画した「ダークナイト」です。

マフィアのマネーロンダリングに臨むゴードン警部補とバットマン。マフィアを追い詰めることで、悪者に越えてはいけない一線を越えさせる契機を自ら作ってしまいます。

そんな時に、理屈の通らない悪の申し子ジョーカーが登場します。

マフィアはジョーカーに、選択権を与えられることなく頼らざるを得ない状況に追い込まれます。

ジョーカーは一見すると本能で動くタイプ、ですが人間の良心や心の闇を一瞬で嗅ぎわける嗅覚を持ち、バットマンを始め警察や検事局、そしてゴッサム・シティーの一般市民達に、次から次へと究極の死のゲームを仕掛けていきます。

そんな中、正義側にも新たなヒーロー、ハービー・デント検事が現れ、苦悩するバットマンは自らが正義のヒーローとなることを許されないことを理解しており、顔を隠す必要のない新たなヒーローにゴッサム・シティーの未来を託すべく、決断します。

しかし、ジョーカーは自らが存在するためにそれを許すのか、はたまたバットマンはゴッサム・シティーに必要とされるのか、ゴッサム・シティーの一般市民達は何を選択して行動を起こすのか・・ここから極限状況での人間の資質を試すドラマが始まる・・そういったお話ですね。

 ◆◆

この映画、とにかく素晴らしかったです。
「バットマン」シリーズでNo.1なのはもちろん、キャラクターモノの映画の中でも、傑出した出来ではないでしょうか?
特にキャラクターモノの映画で、これ程までに深くて重い人間ドラマを見せてくれる映画はそうそう存在しないと思います。

原題は、「THE DARK KNIGHT」、つまり「夜」ではなくて「騎士」のナイトですね。
バットマンは真のヒーローになることを許されないから、ダークナイト。
ですが、「夜明け前は一番暗い」と「夜」にも引っかけたストーリーで、「光」に辿りつく一歩手前の悲壮感と絶望感、それでも希望と良心を失わずに、最も暗黒な時を闘いぬけるかを、壮絶な描写で見せてくれました。

本作は、ジャンル分けするとアクションモノになるのだとは思いますが、アクションモノなのに、とにかくストーリー進行のテンポが悪いです。
ですが、これには重要な意味があることに気付きました。

人間は極限状況に追い込まれたときに、何を信じ、何を拠り所にして自ら行動を選択するか、それをこの映画を観る者に、リアルタイムに考えさせる時間を与えるために、あえてテンポを悪くしているのだと思います。
それにより、映画の中の登場人物との一体感が生まれ、良心の呵責や絶望の気持ち、そして心の闇を共有できる。
つまりは、アクション映画という一面は仮の姿にすぎず、痛々しく、圧倒的な緊迫感に満ちた重厚な人間ドラマという姿が、本作の真の姿だと思います。

そして、それが無駄なシーンも一切なく、152分も続くわけです。
覚悟して観た方がいいです。

ジョーカー役のヒース・レジャー。なぜあそこまで全世界から死を悔やまれたのかは、百聞は一見に如かず、本作を観れば十分理解できます。
理屈は通らない最凶な悪者でいて、本能で動いているのに、人間の尊厳や資質を、即座に極限状況で問いかける嗅覚をもつキャラを、圧倒的な存在感で演じ切っています。

また、クリスチャン・ベールは、「ターミネーター」のジョン・コナー役より、やはりバットマン役の方がハマリますね。
痛ましいほど苦悩するバットマン、最高にカッコよかったです。

夜明けを信じて、悲壮な決意で「今」を背負うバットマン、でも本作を観終えても「夜明け」はきません。
本作のラストは、初めて「ターミネーター」の1作目を観たときに、ラストシーンで抱いた感情と似たものを感じました。

本作は、アクション映画が好きな人はもちろん、重厚な人間ドラマが好きな人にも、文句なしにお勧めできる傑作だと思います。


posted by solata at 13:23| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月29日

幸せの1ページ

僕が2009年75本目に観た映画は、WOWOWで録画した「幸せの1ページ」です。

南の島で父親と2人だけで暮らす少女。教師役は自然と動物たち。そして、何よりも本が好き。「アレックス・ローバー」の冒険小説で妄想を膨らますのが最高にお気に入り。

ある日、父親が「海に出よう」と言い出しますが、ウミガメの産卵とかさなり、少女は1人島に残ります。

父親は2日の予定で海に出ますが、嵐や鮫の襲撃に合い、小さな船は破損してしまいます。

父親と衛星通信がとれなくなった少女は、1人ぼっちで急に不安に駆られていきます。

そんな中、客船で旅する人達の大型の船が島に近寄ってきます。
少女は海賊の襲撃と思いこみ、1人戦う決意をしますが、そこはまだ11歳、不安で押しつぶされそうになります。

そんな時、偶然にもあこがれの「アレックス・ローバー」からEメールが届きます。
著者は新作の執筆に息詰まっており、火山について教えを請おうとメールをよこすのですが、メールをやりとりするうちに少女のSOSを知らされ、「来て!」と助けを求められます。

作家のアレックス・ローバーは小説とは大違いで、対人恐怖症に外出恐怖症、さらに潔癖性と、引きこもり生活をしている問題人物で、とてもじゃないけれど外出なんて、それも遙か遠い南の島へなんて無理と思いますが、自身が創作したアレックス・ローバーとの心の対話から、一大決心をして少女の元へ向かう決意をします。

さてさて、作家、父親、少女の3人がそれぞれ異なる場所で命がけの大冒険を繰り返し・・果たして3人は無事出会うことができるのか? そして出会った末に始まる物語の1ページ目は? といったお話ですね。

 ◆◆

この映画、有り体の言葉で言えば、ハートフルなドタバタ・アドベンチャー・コメディってとこですね。

さて、本作の主演はジョディ・フォスターです。ジョディの今までの作品では、コミカルタッチなものは極端に少なく、どちらかというとシリアスな役が多かった印象がありますが、この作品のジョディはとにかくドタバタ。
これだけコミカルな役は珍しいけれど、そこは演技派のジョディ、大いに笑わせてくれる演技を見せてくれています。

ちょっと変わってるなと思ったのは、普通のアドベンチャーモノは、登場人物たちが各自の得意分野で力を発揮しながら、お互い助け合いつつ物語が進んでいく感じのモノが多いと思うんですけれど、本作の場合は、3人がそれぞれ別の場所で1人で奮闘するところ。
例えて言えば、トム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」を、3人がそれぞれの場所で展開するって雰囲気でしょうか。

ジョディだけは、厳密に言えば1人ではないですけれど、設定上、冒険に出ただけで、心の中は「キャスト・アウェイ」状態かなってことで。

映画自体は小品で、ストーリーも後に何も残らないようなライト感覚、それなのにあり得ない強引な展開と、ドタバタな映画ですが、いつもと違ったジョディを見てみたいという人に限定すれば、観てもいいかもしれないです。

ですが、あまり作品自体には期待しない方がいいです。
posted by solata at 14:14| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月20日

JUNO/ジュノ

僕が2009年74本目に観た映画は、WOWOWで録画した「JUNO/ジュノ」です。

16歳で興味本位でセックスをしてしまい妊娠、当然のように中絶を考えますが、行った産婦人科の感じの悪さで挫折・・それでも自分が親になれるほど甘くないとの自覚から、養子縁組みを考えます。

なんとか自分の両親への告白を済ませ、家族のサポートを得ることに成功、と同時に新聞広告から里親希望の夫婦も見つかります。

里親希望の夫婦は一見理想の夫婦のように見えましたが、友達感覚で旦那さんの元に通う内に、夫婦の問題、人格の問題等、まだ16歳の女の子には抱えきれないほどの問題を目の当たりにして、ジュノは悩みます。

果たして、生まれてる子供をどうするのか、自分の居場所、大事なモノをどこに見つけるのか・・家族のサポートを受けながら、ジュノ自身が自分で考え、自分で答えを出していくお話ですね。

 ◆◆

さて、本作が扱っている領域は、10代の性・妊娠・中絶・そして養子縁組みと、非常にシリアスで重い問題ばかりで、そこから目を逸らしたりせず正面から真面目に取り組んでいますが、決して作品自体が重く暗くならずに、ライト感覚で仕上げることに成功しています。

それは、アメリカ片田舎の四季折々の美しい風景と、のんびりとした日常、そこに全編絵本のような色彩とスーパーインポーズ効果、そしてのんびりとしたカントリーミュージックを重ねることで、それこそ素敵な家族愛にあふれた1冊の絵本を読んでいる感覚になれるためだと思います。

加えて、ジュノのセリフは全編毒を吐きまくりで、これぞ毒舌王って感じの気の利いたセリフ満載ですが、そんなセリフの中にもしっかりと優しさと、揺れ動く感情、そして自分自身を見つめて自ら決断し、一歩ずつ成長していく一人の等身大な女の子がリアルに描けていて、アカデミー脚本賞を受賞したのも納得の出来ですね。

ですが、こういったジュノの生き方、家族のサポートのあり方・・多分僕がジュノの父親だったらきちんと理解してあげることができるのかと言われたら、きっと思考停止に陥ってしまうと思います。

できないと分かっていても親としての覚悟をすることがいいのか、中絶がいいのか、はたまたこの映画のように養子縁組みがいいのか、その時の状況や環境・関係する人々によっても影響して、どれがベストということも決められることではないと思いますが、こんなハートフルなアメリカ映画もたまにはいいですね。

観終わった後、不思議と清々しく、温かい気持ちになれました。


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2009年08月18日

容疑者Xの献身

僕が2009年73本目に観た映画は、WOWOWで録画した「容疑者Xの献身」です。

さて、この映画、「実におもしろい!」って、これじゃベタ過ぎますね。(笑)
実に・・良い映画でしたね。

この映画は犯人を推理するものではないことは、皆さんに既知となっていることですね。
冒頭で殺人が行われ、堤真一演じる天才数学者が偽装工作を施し、まず絶対的な犯人と共犯者を最初に提示しておき、その天才の頭脳が仕掛けたトリックをいかに崩していくか、また要所要所にヒントとなるシーンを挟みながら、観る者にどこで真相に辿りつけるかの挑戦状を叩きつけてくるタイプの映画ですね。

ですが、こういった面は実はこの映画の主題ではなく、真の主題は「純愛」にありました。

学生時代の同期である天才物理学者と天才数学者、陽と陰、全く対照的でありながら、お互いの実力を認めあった2人の駆け引きと友情のドラマは、劇中全く中だるみすることなく、一気に最後まで魅せてくれますね。

そして天才はやはり最後まで計算を間違わない・・綻びは、論理的頭脳では計算できない要素・・映画を観た人ならすぐ気づく要素からしかあり得ないですね。

ある意味、オチは比較的容易に予想がついてしまいますが、そこに至るまでに天才数学者が経験した絶望・孤独・ささやかな光と希望・世の中に計算できないことがあることを知って戸惑うと共に人間らしさを得ていく過程・そして愛情と、愛する人を守ることの意義に至るまで、繊細な感情が織りなす純愛ドラマは、それはそれは深く、また丁寧に描写されていました。

対する湯川も、そんな友人の気持ちを察し、ただの論理的興味と片づけることなく、いかに真実との折り合いをつけていくかの葛藤もよく描写できています。

東野圭吾さんの原作の良さもあると思いますが、映像化に当たって、僕の大好きな俳優の一人、堤真一の圧倒的な演技力が、この映画を骨太なドラマとして成功させたことは間違いないです。

最近の日本映画の秀作は、幅が広くて嬉しいですね。


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2009年08月17日

ルビコンの決断 松下幸之助さん

先週のテレビ東京「ルビコンの決断」は、戦後の経済復興に、松下幸之助さん率いる松下電器が、どのような役割を果たしてきたか、そして重大な局面局面で松下幸之助さんがいかにリーダーシップを発揮してきたかに焦点を当てたドラマを放送していましたね。

ちょっと本棚から、松下幸之助さんの本を引っ張りだしてみました。
#手っとり早く発掘できたものだけとりあえず・・。後は本棚の奥深くに埋もれていて、容易に発掘不能でした。^^;

Books09.jpg

ドラマの前半では、戦後に松下電器が財閥と判断され、幸之助さんが公職追放に遭い、いかに人が動いて会社復帰を叶えたかを描いており、また後半では、テレビで日本を豊かにする使命に燃えて、フィリップスとの(ほぼ)対等の提携をいかに実現させたかを描いていました。

前半後半とも、ぐっとくるものがありました。
特に後半、フィリップスとの提携交渉で見せた、幸之助さんの人を見抜く確かな目(交渉に当たらせる人選)、決断力、揺るぎない信念と高い志は、経営のヒント、交渉力に留まらず、日本人としての誇りであったり、リーダーシップであったり・・とにかく大いに参考になりました。

よくある例で、相手が7%の技術料を要求してきた場合、結果的に5%という数字に落ち着かせたい場合、あえて3%と、徐々に間の数字に導いていく常套手段は昔からありますね。
(今回の松下電器の場合は、3%を目指してました。)

ところが、ここで見せた幸之助さんの決断は、そんな妥協とも計算ともとれる解決法は一切用いなかったです。
まず頑として正面から正当な主張をねばり強く行い、7%を5%という数字に下げさせることに成功します。

フィリップス側は「これが最後通告」と強硬に出てきますが、松下電器はこれでよしとせず、逆に「経営指導料」として3%の要求を突きつけます。

相手は激怒しますが、「松下はそれだけ経営に信念と自信を持っている。だから指導料を要請するのだ。これが松下幸之助の考えだ」との言葉に、ついにはその誠実さと揺るぎない信念が相手に伝わり、要求が通ります。

最終的には、技術料4.5%、経営指導料3%、差し引き1.5%はほとんど対等の関係を勝ち得たことになり、常套手段にありがちな5%で妥協していたら、松下電器はフィリップスに飲み込まれていたかもしれませんよね。

そんな幸之助さんでさえ、フィリップスとの契約の前日は「本当にこれでよかったのだろうか?」と一睡もできないほど、悩みに悩んだそうです。
でも、そんな幸之助さんを、契約に向かわせたのは、「自分が守りたいのは松下電器だけじゃない。日本を豊かにさせる使命があるんだ」の熱い思いと高い志があったからでしたね。

今の経済不況の中、今だからこそ、松下幸之助さんでも吉田松陰さんでもドラッカーさんでもカーネギーさんでもいいですけれど、人それぞれに魂を揺さぶられる先人さんの言葉に今一度耳を傾けて、気持ちを新たに難局を乗り切っていく勇気を持ちたいです。

(ここで名前を挙げたのは、僕の個人的な好みほんの一部なので、人それぞれ、違った名前が浮かぶと思います。「○○の名前がないのはおかしいでしょう」みたいにお気を悪くなされたりしないでくださいね。)
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2009年08月16日

ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ

(日曜始まりで)先週、スーパー!ドラマTVで放送していた「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ シーズン1」を観終わりました。

映画のターミネーターでは、「ターミネーター3」は正規の物語上(歴史上)ではなかったことにされているので、このドラマが「ターミネーター2」の正統な続編ということになってますね。

このドラマ、面白かったですねぇ。毎週、釘付けでした。
サラが本来2005年に死ぬのを免れるために更なるタイムスリップをして、物語を更に複雑化するだけでなく、要所要所でグッとくるシーンやセリフが多かったです。

カイルの兄デレクが出てきただけでも、グっときちゃいましたけど、シーズン1の最終回、ジョンの誕生日でのデレクとカイルとジョンのニアミスシーンは、思わず涙が出そうになってしまったですよ。

それに・・
使命も大事よ。
でも人生を大切にすることをやめたら意味がない。

というサラのセリフは、ターミネーターファンには突き上げるものがありますね。

そして、シーズン1のラスト・・
「え〜?そんなところで終わりっすかぁ?」
ものすごーく、シーズン2へのお預けを食らってしまいました。(笑)

数日前にTwitterで速報も流れてましたが、「シーズン2」、10/21から同じくスーパー!ドラマTVで放送決定ですね!

良かったぁ・・でも約2ヶ月間は、お預けなんですね。orz
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2009年08月15日

G.I.ジョー

観てきました。
僕が2009年72本目に観た映画です。

GIJoe.jpg

NATOの資金を利用して開発した化学物質「ナノマイト」を奪取し、殺戮兵器に転用して、更に実際に使用することで世界を恐怖に陥れようとします。

これが成功すると、世界中の攻撃兵器と共に、シェルターの7割以上をも生産する自企業に頼ってくることが目に見えているので、これにより世界を支配下に置こうと企む悪のテロ組織「コブラ」と、超ハイテクメカで武装した国際機密部隊「G.I.ジョー」の死闘に、ちょっとだけロマンスの要素をスパイスに追加した映画ですね。

その死闘は「コブラ」優勢で進み、最初はパリ大殺戮を企てますが、後一歩の所で、なんとかエッフェル塔の破壊だけで免れますが、いよいよ決戦を迎えると、ついには北京・モスクワ・ワシントンに向けて「ナノマイト」を搭載したミサイルが発射されて・・果たして「G.I.ジョー」は世界を救えるのかといったお話です。

 ◆◆

ところで今回、前の回の上映にトラブルがあり、開始が30分遅れました。
昔ならいざ知らず、今時のシネコンでもこういうトラブルって起こるんですね。最近から始まった3D映画との併用も関係してたりするんですかね。

 ◆◆

さてさて、この映画、大ハズレするかもしれないという予感を感じながらの鑑賞でしたが、どうしてどうして・・予想外に面白かったです。

この手の映画ではお約束の強引な展開と、あり得ないほど幼稚なストーリーですが、メカ!メカ!メカ!で押しまくる派手さは見事の一言ですよ。
とにかくど派手!!
派手さにかけては、「トランスフォーマー/リベンジ」や「ターミネーター4」の比じゃぁないですよ。

出てくるメカも、映画観る前はハイパースーツくらいなんだろうと思っていたらとんでもない・・空・海中・地上を所狭しと、ハイテクなメカが暴れ回ります。

映画の雰囲気としては、
 ・ロジャー・ムーアが演じていた頃の007のストーリーと世界観(悪役の設定とか話の展開とか)
  +
 ・「スター・ウォーズ」のメカとミリタリーアクション
  +
 ・「ありえねー!」肉弾アクション満載と言うことで、「カンフーハッスル」
を足して、3で割った感じでしょうかね。(笑)

 ◆◆

音楽面では、デュークとリップコードが国際機密部隊に仮入隊して訓練するシーンのバックで、かつてパワー・ステーションもカバーした「ゲット・イット・オン」が使われたのが、鳥肌もののカッコよさでしたね。
歌い手もアレンジも違いましたが、あのカッコイイギターフレーズはたっぷり聞けますよ♪
やはり、カッコイイシーンに、カッコイイロックははまります!

 ◆◆

そして、ハリウッド初進出したイ・ビョンホンはどうだったかというと、今回は悪役でしたね。
幼少時代の東京での回想シーンや、その戦い方がまるで忍者な感じからすると、日本人の設定だったんでしょうかねぇ・・。
で、ここで登場する東京が、これまた最近の映画じゃ考えられないくらい、勘違いされた東京が登場しましたよ。(笑)

あっ・・回想シーンでもハリウッド映画お約束・・日本人は日本語喋らないっす。(笑)

 ◆◆

あと、国際機密部隊の司令官、どこかで見たことあると思ったら、デニス・クエイドじゃないですか?
こんなところで見れるなんて、一時期荒れた時期があっただけに、元気な姿が見れて嬉しかったですね。

 ◆◆

で、ラストですが、「え?思いっきり途中やん!」
最初っから、続編ありきですかぁ?
また次も観なきゃですよ。
ちゃんと作ってくださいね。>続編。

 ◆◆

本作はハリウッド映画の面目躍如といった感じで、「理屈抜きに、とにかく派手な映画が好き〜!」って人には、文句なしにオススメできる映画です。^^
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2009年08月14日

レス・ポールさん永遠に・・黙祷

レス・ポールさんが、13日に肺炎の合併症により、亡くなられたそうです。
94歳だったそうです。

なんでいきなりこの話題に触れたかというと、僕も高校生の頃、アマチェアの洋楽ロックコピーバンドをやってまして、

「本物のロックならレッド・ツェッペリンでしょう!」
「ギタリストってのはテクじゃない・・感性で弾くもんでしょう!」
「そう・・ジミー・ペイジのように・・」
「くぅ〜、どうよ!「ハートブレイカー」、「ブラック・ドッグ」のリフ・・「貴方を愛し続けて」の泣きのギター・・」

って感じで、ジミー・ペイジに憧れ、ギターを始めて、買ったギターも、2本ともレスポール。それも1本は、ペイジも愛用していたトラ目のものでしたよ。
#ていっても、まさかギブソン買えるわけではないですけどね。
#2本のうち1本(黒のレスポール)は、訳あって、フェンダーのストラトキャスターとトレード(浮気)したことがあるのは、内緒です。(笑)
#だって、ジミー・ペイジだって、「イン・ジ・イブニング」で、トレモロアーム使ったじゃん。^^;

さてさて、「レスポール?トラ目?」って人には、こう言えば分かる人もいるかも・・

はい・・「けいおん!」で、ゆいが一目惚れして買ったギー太です。
(色も、トラ目の具合も、まんま僕の持っているレスポールと一緒です。^^)

いずれにしましても、レス・ポールさんは、プロのギタリストの方のみならず、僕のような昔ちょっとかじった程度の人にとっても、ヒーローな訳です。

謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。
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2009年08月12日

ラストゲーム 最後の早慶戦

僕が2009年71本目に観た映画は、WOWOWで録画した「ラストゲーム 最後の早慶戦」です。

戦局が悪化していく中、敵国アメリカのスポーツである野球は禁止されていき、東京六大学連盟も解散させられてしまいます。

野球部を存続させることすら出来なくなる大学が増える一方で、早稲田大学野球部は、もう試合をすることが出来ないと肌で感じながらも、「最後までここに留まる」という野球部顧問の元、練習を続けていきます。

そんな中、慶應義塾大学側から、「早慶戦をやりませんか?」と持ちかけられ、「最後のはなむけに」と乗り気になりますが、早稲田側の学長や理事会の猛烈な反対に遭い、事態は暗礁に乗り上げてしまいます。

そんな中、学徒出陣も決まり、残された日もわずかになっていく中、早稲田野球部顧問はついに腹をくくり、強行突破の手段にでます。

しかし、強行突破には越えなければならない最後の壁(早稲田学長)があります。

果たして、最後の思い出を作るために、そして何より生きた証を作るために、最後の最後に大好きな野球をすることが出来るのか・・といったお話ですね。

 ◆◆

戦争当時、実際に「早慶戦」が行われたそうです。

本作はその実現までに様々な想いが交錯するドラマパートがメインで、実際の「早慶戦」のシーンはおまけでしかありません。
そして、肝心なドラマも含め、全編淡々とし過ぎているという印象が強いです。
そのため、もし感動を求めてこの映画を観ようとする人がいたら、思いっきり裏切られる結果になると思います。

ですが、このような反戦物は、映画の中でドロドロと描くことでメッセージを押しつけるより、観る者に歴史の重みを感じさせながら自分で考える時間を持ってもらうことが重要と思います。

製作陣は、そこのところを汲み取って、敢えてこのような淡々とした映画を作ったんだろうと・・一応製作意図については前向きに捉えました。

ただ、「死ぬのが怖いんだ。だから、野球や恋に熱中して、忘れようとしてるんだ」と劇中で言わせた割には、あまりに肝心な試合があっさりし過ぎていたり、それぞれの選手の個性がまるで描き切れていなかったりで、「これで最後」という各人の想いを伝え切れなかった感が、少々残念でした。
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2009年08月10日

おくりびと

僕が2009年70本目に観た映画は、WOWOWで録画した「おくりびと」です。

夢が叶い、念願のオケのチェロ奏者になった主人公でしたが、オケがあっさり解散・・職を失ってしまいます。
「自分の人生って、なんだったんだろう・・」と落ち込みますが、高価なチェロを手放すことで気持ちが楽になり、原点回帰するために、妻と二人、主人公の山形の実家に引っ越します。

早速主人公は、求人広告の宣伝文句に踊らされて新しい仕事を始めますが、なんとそれが納棺師・・はじめての現場でPTSDになりかける始末。

お日様に向かって堂々としていられる仕事とは思えず、また、続けていける自信も持てないので、妻にも本当のことが言えないでいます。

ですが、死者が輝く演出をし、旅立ちをサポートすることで、遺族から感謝される経験を積むうちに、納棺師という職業の気高さを感じはじめます。

ところが、ある日、本当のことを言えないままでいた妻に仕事のことがばれてしまい、「仕事を辞めてくれないのなら・・」と、自身の実家に帰られてしまいます。

一時は仕事を辞めることも考える主人公ですが、納棺師としての成長から、日々前向きに、仕事に取り組んでいきます。

自身の仕事が安定してきた頃、妻が戻ってきてくれますが、妊娠を告げると同時に、再び仕事を辞めることを迫ります。

そんな時、二人がお世話になった人が亡くなり、主人公の仕事ぶりを目のあたりにすることで、妻は夫を理解していきますが、今度は思っても居なかった人からの電報が届き・・といったお話ですね。

 ◆◆

さて・・本作はご存じ、世界が認めた日本映画ですね。

メインテーマも改めて書くまでもないですが、「死生観」ですね。
「死生観」は民族や宗教の違いによっても違ってきますが、それ以上に、その人や周りの人の通ってきた人生や環境にも影響される、非常に繊細な概念ですよね。

同じ日本人同士でも人によって「死生観」は違うのですから、お国が違えばもっと概念を共有することは難しい。

それだけに、本作の世界での成功は、ある意味奇跡なのかもしれませんが、実は仏教の「色即是空」の考え方のように、「自分も空の一部。関わっている」との意識下の想いが、世界をも突き動かしてくれたのかもしれませんね。

そして、ある意味本作のメインテーマ以上に重要なファクターとして使われているのが、「石文」という言葉ですね。
なんでも、人が言葉を持たない頃に、相手に想いを伝えるために、その時の自分の気持ちを表した形の石を相手に贈るということなんだそうです。

かつて、幸せな幼少時代に父から教えられた言葉であり、その時に主人公は感謝の気持ちを持って自分のヒーローである父に「石」を贈り、その石がそのまま妻に、それから、これから生まれてくるまだ見ぬ子供に受け継がれていきます。
この「感謝の気持ち」と「安心して。大丈夫だよの気持ち」の伝え方に見る奥ゆかしさは、日本人ならではだと思います。

この繊細な感情表現が世界に届いたことがすごく嬉しいし、日本人としての誇りを感じずにはいられません。

そして、忘れてならないのが、久石譲さんの美しくて切ない音楽ですね。
ほとんどチェロとピアノだけで醸し出される旋律は、時に折れそうに、また時には力強く・・
この映画の映像と音楽のアンサンブルは、どちらか一方が欠けても成り立たなかったと思えるくらい、見事なコラボレーションを見せてくれました。

「死は終わりでなくて、旅立ちなんだ」という死生観、みなさんはどう感じますか?
上の方でも書いたように人それぞれ違った受け止め方をされると思いますが、本作に登場した死の門番さんの言葉・・
「ありがとう。行ってらっしゃい。また会いましょう」

シンプルだけど・・行間に込めた想いと深い慈しみの心・・日本語ってやはり美しいと思いました。

 ◆◆

ところで・・

プライベートな問題のことなのでここでは詳しく書けませんが、この映画のストーリーやエピソードは、僕自身も25年以上抱え込んでいる問題に深くリンクしていて、映画を観ている間中、今まで映画鑑賞では味わったことのない個人的な様々な感情が意識の表面に次々と浮かび上がってきて、非常に多くのこと・・考え込んでしまいました。
・・この話は、これ以上はやめときます。


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2009年08月09日

HACHI 約束の犬

息子と二人で観てきました。
僕が2009年69本目に観た映画です。

いやぁ、泣きました。
僕はハンドタオルを予め準備して観ていたので、それで涙を拭ってましたが、息子は着ているTシャツでしきりに涙を拭ってました。^^;

Hachi01.jpg

物語は、リチャード・ギア演じる教授の孫が、学校の授業で、「僕の・私のヒーローは?」という題目で個人スピーチをさせられた時に、「僕のヒーローは、ハチです。」と語るところから始まります。

そして時は巻き戻って、まだハチ公は子犬で、日本に居ますが、ちょっとした輸送の手違いから海を渡ってアメリカに来てしまうという、強引な導入部になっています。

導入部こそ強引ですが、そうしてベッドリッジ駅で偶然教授と出会ってからは、そこに描かれていたものは、場所や設定こそ違いますが、その精神は「ハチ公物語」そのものでした。

まず教授には日系人の友人が居る設定になっているのですが、この友人を通して、秋田犬の性格や武士道精神を学んでいきます。

そして、教授はハチ公を通して、忍耐力、ゆるぎない精神力、謙虚さ、厳格さの中にも存在する深い慈しみの心・・そうです、「和の精神」を学んでいきます。

映画の演出として特筆すべきは、教授の友人の日系人が駅でハチ公に語りかける重要なシーンがあるのですが、このシーンのセリフが全編日本語で、英語の字幕が出ていることです。
それもただの一言ではなくて、それなりの長さを持ったセリフのシーンです。

アメリカ人って映画で字幕を読まされることがすごく嫌いな人種なんだそうです。それだけ自己中か、もしくは映画産業に対しての変なプライドの高い人が多いってことでしょう。
だから、自国語以外の言語が自国の映画に登場するのが大嫌い。

これが昴じた結果が、例えばトム・クルーズが主演した「ワルキューレ」でしたね。
あの映画はかなり緊迫感の高い映画であったにも関わらず、ドイツ人なのに全編英語でベラベラ話すので、折角の世界観を台無しにしていた、ハリウッド映画特有の悪例だと思います。

それに対して、本作の上記のシーンは、性格上、日本語でなければいけない必然性はなかったにも関わらず、あえて日本語のセリフにしてくれた製作陣の勇気と謙虚さ・日本に対しての敬意が感じられて、大きな拍手を贈りたい気持ちになりました。

本作は、動物好きな人だけに留まらず、そうでない人でも、それも大の大人でも安心して観れる秀作だと思います。
無理やり泣かせようというような演出をしていないところも好感が持てます。(それなのに、泣いてしまいましたが・・^^;)

いずれにしましても、間違いなく、日本人の琴線に触れる映画だと思います。

映画の最後で年老いたハチ公が帰らぬ主人を待ちながら見た幸せな夢・・本当のハチ公も最期はそんな思いを抱きながら星になっていてくれたらと思いました。

さて・・

今回は、下のグッズを手に入れてきました。

Hachi02.jpg

まずはクリアファイルです。

Hachi03.jpg

こちらは、付箋紙です。
やはり文房具好きとしては、買わないわけにはいきません。(笑)
ですが、かなりかわいいので、使うのがもったいないかも・・。
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2009年08月07日

ミハエル・シューマッハの緊急参戦に思うこと

マッサが大変なことになってしまって、代役にミハエル・シューマッハが決まって、話題性十分、楽しみにされている方も多いですよね。
僕は現役時代のシューマッハはフェラーリ好きと併せて、とても大好きなドライバーでしたよ。

ですが、僕個人的には、今回の代役シューマッハは反対なんです。
こういう時のために、サードドライバーのマルク・ジェネは居るわけだし、テストドライバーのルカ・バドエルだって居るし、彼らにチャンスを与えてあげるのが、ビジネスとして正当のように思います。

一応本人から「フェラーリの緊急事態を見逃せない」との声明が出ていますが、なんとなく、シューマッハが客寄せパンダにされてしまった気がして、悲しい気持ちがしちゃうんですよね。

昨日のニュースでも、「首に痛みを抱える」と出ていますし、「僕の健康を優先しないといけないんだ・・」と言っていますから、ホントそこら辺を十分考慮して、シューマッハ本人に判断してほしいです。

もし本人の意向よりもショービジネスの犠牲として担ぎ出されたという方が大きいのなら、関係各位には適正な判断をしてほしいと思います。
#といっても、バーニー・エクレストンが脳天気な表明出しちゃってますねぇ。

要はシューマッハが生半可なドライバーよりも、いまだに速いかもしれないってところが問題なんですよね。

かつてマンセルがマクラーレンに復帰した時に、中団より後方をタラタラと走っている姿を見ましたが、シューマッハのそういった姿は見たくないんですよねぇ。

実際のところ、どうなんでしょうね?

ところでマッサですが、サッカー界では、チェルシーのGKチェフがかつて試合中に頭蓋骨骨折の重傷を負ったことがあるんですが、その後見事に復帰してみせました。

マッサ本人もモチベーションを失っていないようだし、是非頑張ってほしいです。
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2009年08月04日

スピード・レーサー

僕が2009年68本目に観た映画は、WOWOWで録画した「スピード・レーサー」です。

言葉を覚えることよりも先にエンジン音の真似をすることを先に覚えたスピード(主人公)は、天才レーサーで非業の死を遂げた兄に憧れて、同じレーサーの道を目指します。

主人公をサポートするのは、スポンサーの一切ない、ファミリーだけ。
ファミリーで作り上げたマッハ号に乗り、主人公の夢・家族の夢を乗せて、誰よりも速く走ることを目指します。

ところがレース界は、企業間のM&Aに絡む八百長が横行し、マフィアまで登場する始末。
主人公一家もその世界に誘われますが、ピュアな精神を失わない主人公は誘いを断ります。

一方、レース中の不正を調査する組織があり、そちらからも協力を要請されます。

様々な立場の人の思惑が入り乱れる中、主人公は自分の走る意味をどこに見いだすのか・・また兄を越えることができるのか・・といった物語ですね。

この映画、全く期待してなかったんですけれど、意外と楽しめました。

さてさて、僕は「マッハGoGoGo」リアルタイム世代です。(笑)
本作は「マッハGoGoGo」の実写版ですね。とはいえ、極彩色を多用したCGとの合成は、実写であって実写とは思えない映像ですね。
かつて1982年に「トロン」というCGを多用した映画があったのですが、本作は「トロン」を2008年のコンピュータテクノロジーで再現してみましたって感じです。

アニメとの対比では、「トランスフォーマー」が、その世界観が全く違うものにされてしまったのに対して、「スピード・レーサー」のそれは、かなり原作に忠実だったのは驚きでした。
登場する各キャラクターの性格付けから、マッハ号のギミック等、しっかり踏襲しています。

本作のテーマは、ずばり何のために走るか・・その1点に尽きると思いますが、今の現実の世界は、本作で描かれたM&Aよりもある意味ひどい政治的・経済的問題を抱えていると思います。
ですが、そういったことは一旦脇に置いといて、純粋にレースで競いあうことが、掛け値なしに見るものを興奮させてくれるんだという、モータースポーツの最もピュアな部分を、よく映像化してくれていたと思います。

音楽もしっかり「マッハGoGoGo」だし、フジサーキット(レイアウトは富士スピードウェイとは全く異なりますが・・)があったり、日本語が多用されたりと、十分日本に対して敬意が払われた映画に仕上がってますが、この映画を、日本映画でなくて、ハリウッド映画として製作されたことが、日本人としてはちょっと悔しいですね。
今では「GOEMON」を製作できる日本映画ですから、是非日本映画として、今一度リメイクしてほしいですね。
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2009年08月02日

ボルト

観てきました。
僕が2009年67本目に観た映画です。

ピクサーと言えば、最近は本編前のショートムービーが趣向を凝らされており、今回はどんなのを見せてくれるのかなってのも楽しみの一つになってますが・・

なんと今回は、あの「カーズ」でボケ担当だったレッカー車のメーターを主役にして、東京を舞台にした一大ドリフトレースを見せてくれました。サポート役にマックィーンも登場して、「カーズ」好きにはたまらない傑作に仕上がってましたよ♪

それでは、本編です。

ボルトはTVの世界のヒーロー犬。いつもピンチに陥る女の子のペニーを助け、悪者を退治する、スーパーパワーを持ったわんこ。
ボルトは、周りの人間から外の存在を遮断されることで、自分の居る世界をリアルと思い込まされています。

そんなある日、プロデューサーから番組のマンネリを指摘され、毎回ハッピーエンドを迎えてたのをやめて、ペニーがピンチに陥って離ればなれにされたまま、その回の撮影が終了してしまいます。

いてもたっても居られないボルト・・そんなボルトはひょんなことから本当のリアルの世界に飛び出してしまいます。ところがそこでは当然スーパーパワーは使えない。

それでもボルトはペニーと再会し、ペニーを助け、お互いの絆と愛情を確かめるために、勘違いから巻き込まれた猫のミトンズ、ボルトをヒーローと信じて疑わないハムスターのライノを従えて、アメリカ横断の旅に出ます。

果たして、ボルトは無事ペニーと再会することができるのでしょうか・・といったお話ですね。

この映画、分かりやすく言えば、
 バズ・ライトイヤーのマインド
  +
 ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」の世界観
  +
「パワーパフガールズ」のスーパーパワー
の設定を真似して、主役を動物に置き換えたといった感じですね。
そういった意味で、ストーリーのオリジナリティや意外性といったものは、残念ながらありませんでした。

多分本作は、ピクサーが送り出した映画の中でも、もっとも見せ場の少ない映画かもしれません。
でも、それは「ボルト」がつまらないという意味ではなくて、ペニーとボルトの絆・愛情だけを引き立たせて感じてもらうためにはどうしたらいいか・・そんな自問自答の結果、無理矢理泣かせるようなシーンは一切作らずに、ただ淡々と心温まるロードムービーで見せようという結論に達したのではないでしょうか。

使い古されたフレーズですが、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」を選択したということだと思います。

そして忘れてならないのは、猫のミトンズとハムスターのライノの存在ですね。

ミトンズは現実主義者。かつて飼い主に捨てられた辛い過去を持つが、意外に世話焼き。
ライノは、ボルトを前に、「ヒーローはかくあるべき」の大演説をぶち上げるお調子者。

このミトンズが、本作を観る子供達に現実社会の厳しさ・残酷さを教え、ライノは子供が親に求める理想像を親達に再認識させてくれる・・気持ちが折れそうなときに「それでも立ち向かうのがヒーローだ」と熱く語るライノの言葉には、もっと世の中のお父さん・お母さんも元気を出さなきゃって気持ちにさせられますね。

こんな感じなので、子供の情操教育にも良いと思うし、親にとってもライノの数々のセリフから沢山のメッセージを受け取ってほしい、そんなシンプルな映画でした。
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2009年07月26日

MR.BIG REUNION in JAPAN 2009

今日(既に昨日ですが)、WOWOWで先月6/20に日本武道館で行われたMR.BIGのライブが放送されました。

そうです。僕が先月まさしく見に行った日のライブ映像です。

 ◆その時の記事は、コチラです。

まだまだ記憶に新しいので、まるで昨日のことのように感動がこみ上げてくるのですが・・

・・がしかしです。
この日のコンサートは、だいたい2時間20分くらいあったのですが、今回のWOWOWの放送は1時間24分。
なんと、ほぼ1時間近くカットされてしまいました。orz

「え〜!あれもこれもカットしちゃうの?」
「嘘でしょ・・あの曲もカット・・」
「あの壮大な紙吹雪の演出シーンもカット?」

って感じで、当日武道館に見に行った人には、えらく消化不良って感じでした。

いつでもいいから、どこかで完全ノーカット版を放送してくださまし!>WOWOWさん
posted by solata at 01:27| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月25日

さよなら。いつかわかること

僕が2009年66本目に観た映画は、WOWOWで録画した「さよなら。いつかわかること」です。

主人公には12歳と8歳の娘がいます。奥さんとは主人公が入隊していた時に知り合っていますが、主人公は近視がばれて除隊の憂き目にあいます。
一方、奥さんは陸軍軍曹としてイラクに赴任します。

そんな中、ある時、主人公の元に、奥さんの突然の訃報が届きます。
娘達にどう伝えるか以前に、主人公自身が自分を見失ってしまいます。

そうして、傷ついた主人公と、しっかり者の姉、無邪気な妹3人による、シカゴからフロリダまでのロードムービーが始まります。

本作は、すごく静かで味わい深いロードムービーです。
そんな世界観を損なわないように、音楽もまた静かでゆったりとした旋律を奏でてくれます。
誰が担当したんだろうと思ってクレジットを見てみたら、なんと音楽はクリント・イーストウッドでした!!

そして、主演はなんとジョン・キューザックですよ。この役の為なのかは知りませんが、随分と太りましたねぇ。
また、その演技は、今までのイメージとは違って、新境地を感じさせてくれます。

一番大切な人をもし失ったら、あなたならどうしますか?
人間はどんな時も一人では生きていけません。立ち直れないほどの傷を負った主人公にはかけがえのない2人の娘達がいたし、事実を受け入れるにはあまりに痛々しい思いをした2人の娘達にも自分達を命懸けで守ってくれる父親がいました。

このロードムービーは、そんな残された家族が明日に向かって生きていけるように、ゆっくりと時間をかけて絆を深めていき、死んでしまった母親の大きな愛を3人が3様に感じながら力を合わせて小さな一歩を踏み出すまでを描いています。

あの美しい浜辺のシーン・・全ての感情を吐き出してぶつかり合い、涙が枯れるほど泣いて、その果てに、夕日に向かって決意を持った表情で固く寄り添う3人・・
胸を打つ名シーンには、台詞さえ必要ないんだと言うことを実感させてくれました。

そして、このシーンにおける妹の演技に注目してあげてください。短い時間の中で、弱さから強さがにじみ出ている表情に変化する演技は、素晴らしいと思いました。

そんな家族のあり方をじっくりと味わってほしい、小品だけど素敵な映画でした。


posted by solata at 01:39| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月18日

告発のとき

僕が2009年65本目に観た映画は、WOWOWで録画した「告発のとき」です。

かつて英雄的存在だった軍曹(主人公)を父に持ち、父に憧れることで入隊、強者揃いの部隊にて、イラクに1年半赴任した後に、仲間たちと一緒にアメリカに帰国します。

しかし帰国後、主人公の息子が行方不明になったことを知り、主人公は息子を捜すために基地に向かいます。

ところが、ほどなくして息子は無惨にもバラバラ死体となって発見されてしまいます。

主人公は地元警察の女刑事の協力を仰ぎながら、事件の真相に迫っていきますが、捜査が進むにつれ、地元警察と軍の駆け引き、そして犠牲となった息子や息子の仲間達の心の闇や苦悩が浮き彫りになり、やがて受け入れがたい結末へと向かっていく・・といったお話ですね。

 ◆◆

まず最初に言っておきたいこととして、本作を観た者にしか分かりませんが、日本題名が全く内容を現していません。
内容からして日本題名を考えるのに苦労したであろうことが容易に想像できますが、明らかに映画の趣旨と異なる内容を連想させてしまう題名をつけるのはどうかと思います。

 ◆◆

この映画、始まってすぐに、ストーリー全体が分かってしまう程、意外性という点は全くありません。
そういった意味で、サスペンス物としては失格と言わざるをえません。

ですが、見え見えの話でありながら、いかに俳優陣の重厚な演技で人間ドラマとして成り立たせるかという点で、この映画の価値が見いだせます。
そういった意味で、トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロンが主演なので、安定感があります。

また、合間合間に挿入されるイラクで息子が撮影した映像が非常に効果的で、加えて巧みな脚本により、息子の心の闇や苦悩、父親の前では立派でいたいという信念を曲げてまでも助けを求めたにも関わらず、父に届かなかった無念、自らが正気を失わないための心の逃避からくる奇行といったことが、観る者に痛い程伝わってきます。

そして、主人公は立派であるが故に息子もそうであると信じて疑わなかったことから、息子が生きているうちに、彼の苦悩に気づいてあげられなかった無念さを共有し、全てが判明したときに採った主人公の行動(表情)に、言いようのない戦争の理不尽さがよく現れていて、平和な国に暮らしている僕にも、言いようのないやるせなさを感じさせる人間ドラマに仕上がっていました。

繰り返しになりますが、本作はサスペンス映画だと思って観てはいけません。
骨太の人間ドラマで、世界情勢に目を向けるきっかけを作る意味合いで、じっくり堪能してほしい作品です。


posted by solata at 03:40| Comment(0) | 映画/音楽/スポーツ/TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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